A国の魚雷は貧弱で、イルカにすら追い越されるほど遅かった。しかも、命中精度が低かった。
ここで発想の転換が行われた。
イルカ並みのスピードならイルカに爆薬を付けて泳がせればいいじゃないか。しかも、命中精度アップまで期待できた。イルカに敵艦に向かうように学習させれば良いのだ。
こうして新型魚雷【獣雷】と、獣雷を扱う設備を備えた獣雷装艦が完成した。
「いよいよ、初陣だ!」
獣雷装艦から獣雷が発射された。
作戦は大成功だった。
次々と敵艦が沈んでいった。
全ての敵艦が消えると獣雷達は目標がなくなって困った。その時、ちょっと形は違うが、まだ浮かんでいる別の軍艦を彼らは発見した。彼らはその軍艦に突進した。
(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)